データセンターと電力

データセンターは大量の電力を消費します。その需要の規模、効率(PUE)の基準、電源の新設・併設について、 政府・国際機関の一次資料をもとに事実を整理しています。掲載は特定の立場を支持・非難するものではありません。 (電力量の単位は TWh で統一しています。1 TWh = 10億kWh)

2030年度の全国見通し ── 新増設の個別計上分

OCCTOの2026年度需要想定は、2030年度に新増設されるデータセンターの個別計上分を 24.3 TWh・3.28 GWとしています。 これは既存分を含む国内DC全体の消費量ではありません。全国の需要電力量(使用端)824.263 TWhを分母にした参考比率は約2.9%ですが、 OCCTOが公表した「DC総需要比率」ではなく、本サイトによる個別計上分の単純除算です。

データセンター新増設の個別計上分24.3 TWh

最大需要電力 3.28 GW

半導体工場新増設の個別計上分6.5 TWh

最大需要電力 0.92 GW

地域区分2030年度 DC単独比率根拠
全国2.9%(参考計算)DC個別計上分 ÷ 全国需要電力量(使用端)
東京供給区域(東京都に限定されません)不明同じ公式表にDC単独値なし
関西供給区域不明同じ公式表にDC単独値なし

個別計上があるのは北海道・東北・東京・中部・関西・中国・九州の7供給区域です。地域別の図はDCと半導体を含むため、 東京・関西のDC単独比率には分解しません。前年の2025年度想定では2030年度DC個別計上分が30.9 TWh・4.40 GWでしたが、 2026年度想定は事業者の工事延期・遅延や設計変更等を反映して後ろ倒ししています。

需要の規模 ── 一需要部門としては大きい

電力広域的運営推進機関(OCCTO)の2050年度見通しでは、データセンターの電力需要は Low 43/Mid 107/High 211 TWh のシナリオ帯で想定されています。Highの211 TWhでも現在の日本全体の年間電力需要 (約1,000 TWh)の約2割ですが、一つの需要部門としては大きく、 後述する現在のFIT買取再エネ全体(2024年度 約132 TWh)に対し、中位でも約81%、高位では約1.6倍に達しうる規模です (2050年度の将来想定値と2024年度の実績値・対象範囲の異なる参考比較)。

(参考)現在の日本全体の年間電力需要1,000 TWh
2050年度 DC需要 Low シナリオ43 TWh
2050年度 DC需要 Mid シナリオ107 TWh
2050年度 DC需要 High シナリオ211 TWh

国際的にも、IEAはデータセンター等の世界の電力消費が2030年に約945 TWh(2024年から倍増)となり、 現在の日本の総電力消費(約1,000 TWh)に迫る規模になると見込んでいます。 一方で、今後5年の世界のDC需要増の約半分は再生可能エネルギーがカバーし、 日本・韓国では再エネと原子力でDC消費の35%→60%近くをまかなうとも予測されており、供給側も拡大しています。

法人電力料金 ── 公表単価と仮定を分離する

高圧・特別高圧の最終的な支払単価は、電力量料金、燃料・市場調整、託送、容量関連費用、再エネ賦課金などで構成され、 契約・地域・電圧で異なります。以下は公表されている制度上の単価または約定結果であり、DC向け見積価格ではありません。

構成要素公表値扱い
2026年度 再エネ賦課金4.18 円/kWh国の公表単価(全国)
容量市場 2029年度・東京エリア15,111 円/kW年市場の約定価格。需要家請求単価ではない
容量市場 2029年度・関西エリア12,388 円/kW年市場の約定価格。需要家請求単価ではない
託送・東京高圧個別計算現行約款の基本料金・電力量料金等を確認
託送・東京特別高圧個別計算現行約款の基本料金・電力量料金等を確認
託送・関西高圧個別計算現行約款の基本料金・電力量料金等を確認
託送・関西特別高圧個別計算現行約款の基本料金・電力量料金等を確認
高圧・特別高圧の相対契約価格非公開/不明標準低圧メニューから推計しない

容量市場約定価格の負荷率換算(感度表示)

仮定負荷率東京関西
70%2.46 円/kWh2.02 円/kWh
80%2.16 円/kWh1.77 円/kWh
90%1.92 円/kWh1.57 円/kWh

換算式は「円/kW年 ÷(8,760時間 × 負荷率)」です。制度上の約定価格を単純換算した感度であり、小売の容量拠出金転嫁額や契約単価ではありません。 民間の2028〜2030年需給ひっ迫シナリオも検討対象にしましたが、基準契約・供給区域・高圧/特別高圧の範囲と内訳を一次資料で再現できないため、数値帯は公開表示していません。

供給の伸び ── FIT太陽光の買取電力量は2023→2024年度で横ばい

供給側も拡大しています。FIT(固定価格買取)制度で買い取られた再生可能エネルギーの電力量は、2013年度の約18 TWhから、2024年度には約132 TWhへと約7.3倍に伸びました。 その主役だった太陽光は20232024年度で ほぼ横ばい(約85 TWh)となり、直近の全体の伸びは風力・バイオマス等が支えています。

2013年度18 TWh
2014年度29 TWh
2015年度43 TWh
2016年度57 TWh
2017年度69 TWh
2018年度80 TWh
2019年度90 TWh
2020年度104 TWh
2021年度114 TWh
2022年度122 TWh
2023年度130 TWh
2024年度132 TWh
2025年度(4〜12月累計)108 TWh
太陽光その他再エネ(風力・水力・地熱・バイオマス)2025年度(年度途中の参考値)

※この値は「FIT制度で買い取られた電力量」であり、再エネの総発電量ではありません(大型水力・FIP・自家消費分を含みません)。 総発電量ベースでは、太陽光は日本の年間発電電力量の約11.5%(2024年)を占めます。 前掲のとおり2050年度のDC需要はMid 107/High 211 TWhと想定され、 現在のFIT再エネ買取量(約132 TWh)の約81%〜1.6倍に相当する規模です。だからこそ効率(PUE)が問われます。

出典:資源エネルギー庁「なっとく!再生可能エネルギー 各種データの公開」C表①をもとにjapandatacenter作成(単位換算・年度集計)。公共データ利用規約(PDL1.0)に基づく。

効率という物差し ── 省エネ法のPUE基準

需要が大きいからこそ「どれだけ効率よく使うか」が問われます。2026年7月施行の省エネ・非化石転換法は、 同年7月以降に運用を開始する新設データセンターに、電力使用効率(PUE)を年平均1.2以下とすることを求めています (試運転後2年以内に恒久達成)。また特定事業者はPUEの実績を自社ホームページで公表する義務を負います。 PUEは施設全体の消費電力をIT機器の消費電力で割った値で、1.0に近いほど効率が良く、余分な電力(冷却等)が少ないことを示します。

本サイトでは、公表されている施設のPUEを各施設ページに基準線1.2との位置とともに掲載しています。

電源の新設・併設 ── 需要が電源開発を牽引する

この規模の需要に応えるため、電力会社は送電網を増強し(大手8社が全国30カ所で変電所を新増設)、 データセンターに電源を併設・専用調達する動きも出ています。国内では、発電所跡地への立地(薩摩川内)、 再生可能エネルギーとのペアリング(苫小牧)、発電所一体型の構想(JERA)などが報じられています。 本サイトでは、事業者・自治体が電源との関係を公表している施設について、出典付きで施設ページに記載しています。

首都圏の主要送電線・変電所と施設の位置関係は送電網とデータセンターで確認できます。物理的な近さと供給余力は分けて表示しています。

本サイトの収録状況(参考)

現在、本サイトに掲載中の施設で電力容量が判明しているものの合計は約1,680 MWです (区分の異なる容量値を含むため単純比較はできません。詳細は統計)。これは日本のデータセンター全体のごく一部であり、収録は継続的に拡張しています。

出典